社会、文化を取り込んだ人類全体の歴史。
しかし実際にそういう歴史が書かれたことはない。
普通、各国史を集めた万国史や西洋史、東洋史という地域史を広げた広域史を世界史というが、それは便法で、真の意味は、「世界」についての一定の観念が多国多地域を包括して統一的に書いた歴史のことである。
事実上はローマ支配史であったり、ヨーロッパ文化成立史であったりした。
しかし現実は、世界についての主体的観念が客体の世界と一致する方向に進んでいる。
真の世界史はこれから書かれるだろう。
西洋では紀元前2世紀に最後のギリシア人ポリビオスが最初に『世界史』40巻(初めの五巻のみ残存)を書いた。
彼は歴史を修辞的興味からではなく政治・国事の記述として書き、それを広い視野でみた。
それは現実には、ローマの強大な勢力が地中海世界国家にのし上がってゆく過程にほかならなかった。
その見地はギリシア人のポリス中心主義を超えてはいるが、ローマ覇権史以上のものではない。